秋、と言うにはまだ日差しが強い良く晴れた一日、畑を歩いた。広がる地面と、高く澄んだ空と雲、野菜の緑が目にウレシイ。脇の畑でおじさんが鍬で土を掘り返し平らにする作業を繰り返している。動きがリズミカルで見ていて実に気持ちがいい。農作業が好きなんだ!って気持ちが伝わってくる。ほうれん草を作っているのだそうだ。
かたわらのネットと呼ばれる布のドームの中にまだ小さいほうれん草の葉っぱが見える。「おくるみ」につつまれた赤ちゃんみたい。大切そうなのはわかるけど、この布のドームはちょっとおおげさに思える、どうして?とたずねると「虫除けだよ」とおじさんは苦笑する。「むかしはちょっと薬をまけば虫が寄ってこなくなったけど、今は空気が汚れたせいか虫も強くなってしまったて、薬をまいてもまいても出てきてしまう。だから布で包んで虫を寄せ付けないようにしてるんだよ」
なるほど、そうすると農薬もほとんど使わないで済むんだ。気持ちのよい畑で真綿のネットに包まれ、虫も寄せ付けずに育てられるプリンセスほうれん草。大きくなるのが楽しみだ。
きっと美しくってスイートな味がするに違いない。(Can)