トマト

Tomatoe 鎌倉にはトマト農家、なる言葉がある。一年のうちの多くの期間をトマト栽培に費やす農家。

雨の少ないアンデス原産のトマトは、もともと高温低湿度が好条件。さらに温度差があるほうが甘みを増すとか。雨の多い日本にはちょっと不向きな植物。
そこで鎌倉のトマト農家では路地ものが出る真夏以外は、ハウス(温室)で育てる。ハウスは屋根で覆って温度を上げて、雨をよける。中は、支柱を立てて倒れないようにしっかり保護されたトマトの茎が並ぶ。できるだけ農薬を使わずに虫の増殖を抑えるため、虫のフェロモン撹乱テープが横に張るられている。黄色い可憐な花は自ら受粉ができない。だから数年前まで人間が専用の筆を使って花粉をひとつづつ丹念につけて周ったそうな。Hachi 今では大型の「まるはなバチ」が人に代わってせっせと受粉させてくれる。このハチ、働き者だけど外国生まれなので管理が厳密に決められていて、温室外に出すと法律に触れる。
(写真を撮ったけど動きが早いシャイなヤツで、小さくしか写ってくれない、黄色い花の脇の黒っぽい点がそれ。見えるかな?)
ひとつの茎に40~50個の実がなる。一房は3~4個。茎の下のほうから緑色に実り、律儀に茎の下の方から赤くなっていくところが不思議だ。
細い茎が支柱や紐に支えられて緑や赤の実を抱えている姿は、トマト自身と人間と昆虫が協力してがんばった結果と言う感じがして、なんともケナゲ。Tomatosha_1
丹精込めて育てられているんだ!
そうして出荷されるトマトは、大きくて形もきれいで上品。なんといっても美しい赤、真っ赤! 水の中に入れると果肉が詰まっていて沈んでしまうほど。
酢っぱさと、驚くほどジューシーな甘みがある。

そう、鎌倉のトマトは特別なんです。 (Can)