幻のダイコンと言われる野菜があります。「三浦大根」。ここ鎌倉を含めた国内多くの場所で生産されますが、名前の由来となった三浦市では歳末の3日間のみ出荷される希少な存在なのだそう。水分をたっぷり含み、大きくて重いダイコンで、煮物に向く。厚めに皮をむいて生で食べると、なんとフルーツの「梨」によく似た味と食感だと言われます。
鎌倉ではそんな三浦大根は「中太(なかぶと)」と呼ばれていて、冬場にあたりまえに見かける野菜のうちの一つです。名前が違うから別のものだと思いがちだけど、中太と三浦大根は同一。鎌倉の畑で育ち、歳末から翌年の3月ぐらいまで収穫され、レンバイや直売で冬場の野菜として販売されています。
寒い時期の水分の多い三浦大根は、煮物向きのなめらかさ、品の良い甘みがおせち料理にぴったりで、紅白なます、漬物、お雑煮、煮しめの具材と大活躍。大きいので市場がお休みになるお正月の時期の保存食にもなります。年末、車を出してお父さんに持ってもらって買い出し、コスパも良くて、家族が自宅で過ごす時間が長い時期に重宝する「野菜」って感じですね。
けれどもお正月を過ぎると、大きくてとにかく重いこのダイコンはスーパーや小売店では敬遠されがちなんですって。残念だな。
この大根、かつては病気に弱く育てにくかったそう。その上、正月以外はスーパーや八百屋が好まないため販路がない。そんなこともあって三浦では青首大根が主流で、三浦大根を育てる農家はほとんどなくなってしまったのだとか。
こうして世間では「歳末のみの幻の野菜」「期間限定野菜」みたいに思われていますが、鎌倉にはこの大根の良さを知っているファン(飲食店やベテランの主婦)がいます。ここでは消費者のニーズに答えて農家が作り、直売しています。だから三浦大根も鎌倉では普通に生き残っているんです。
鎌倉の畑では、お正月過ぎても、しげしげとこの「中太」の葉が力強く気持ちよく広がっています。これは大きく育っている証。男性が持ってもこの大きさ。見せていただいたものは、重さは4kg以上あり、生で食べると、やさしい甘さがあり、みずみずしくてさわやか。確かに梨みたい❣
中太の名前通り、真ん中が一番太い。青首ダイコンのように部位によって味や硬さが変わることなく、どこで切っても苦みが少なく、同じみずみずしさ。大根おろしや大根サラダの生食から、風呂吹きダイコン、おでん、お雑煮、煮しめなどの煮物で煮崩れしにくく、味がすっと入る実力を発揮してくれる。
苦みが少ないから葉がまたおいしい。刻んでゴマ油でいため、しょうゆをかけるだけで、ステキなサイドメニューに。
この食べでのある三浦ダイコン、レンバイならたいてい冬の間(3月末まで)は購入できます。寒い日の煮物、少し暖かくなった時の生食、サイコーです。
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