上海の食、鎌倉の食

Mado2_2 上海に行くことが多くなった。かの国のメラミン混入ミルク事件には驚いた。死者まで出ていると言う。中国で食事をするのは今や命がけ。いや、輸入した原材料で加工品を出している日本だって同じだ。さらに日本では汚染されたコメが食品として出回っていた事故米騒ぎも起きた。世界はつながり、食品の安全はどうかしちゃってる。

子ども2人を含め上海に住む友人は「安全な野菜を売っていると聞いては、そこまでタクシーを飛ばして買いに行く」のだと話してくれた。駐在員の主婦たちは「そこら辺の市場やスーパーでは怖くて食品は買えない」のだそうな。昭和30年代の懐かしい路地裏の雰囲気を残しつつマンハッタン化していくスケールの大きな都市にあって、「安全に食べること」が一番のぜいたくになりつつある。

Tori_2   それでもここでは街の中心の裏の路地に、オシャレな湾口の建物をモダンに改築した通りの裏に、小さな朝市が立つ。郊外の農家が生産したものを持ってきて、路上で売るのだ。大きな袋に入れたソラマメをカゴで計って売るおじさん、手作り豆腐をリヤカーで売るおばあちゃん、育てた鶏(生きてます!)を売るオジサンなどで路上は活気を呈している。みんな丁々発止のやり取りをして(値切ってるんだな、きっと)お目当ての食品をゲットする。普段はなんでこんなに愛想が悪いか、と思える上海の普通の人たちだが、買い物の後は買い手も売り手もウレシそうだ。泥つきの野菜に、天秤棒の先のかごから出された果物に、作りたてでまだ温かい豆腐に、顔を合わせた安心があるようだ。

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な~んだ。考えたら、それって鎌倉とおんなじじゃん。知り合いの農家が直接生産物を売る。畑も知ってるし、作ってる人も、売ってる人も顔見知りだ。そんな安心感が安全の証になるんだな。鎌倉の整理された畑を見ながら、一番のぜいたく「安全」を思った。 Hatake4_2