冬になるとカブが恋しい。なめらかで水分が多く、苦みが少なくて甘みがある。かなり以前から日本に伝わっていたが、ヨーロッパから来たのとアジアから来たものとあるらしい。そういえば「大きなカブ」ってヨーロッパ昔ばなしがあったな。
カブはアブラナ科の根菜類で実の部分は根が肥大化したもの。だから丸っこいカブや、ダイコンのように太くて長いもの、ニンジンのように細い形もあるが、ダイコンの仲間ではない。
でもちょっと前のカブはごつごつしていて割と大きくて黄ばんでいて、硬かった気がする。最近のカブは白い部分は真っ白、茎の根元のあたりから約半分が黄色いもの、紫のものもあるし、ビーツのような全体が赤かぶもあり。
アブラナ科だから切り込みのないやさしい形の葉もおいしい。品種改良が進み、色も多彩で、やわらかく味も一段と甘みを増した。
実の部分は根が変形したものだからか、畑にいる間は実の部分のほとんどが地上に出ている。どちらかというと、土の上に乗っかっている、という風情だ。かさかさしたり土の色がつかないかなあ、表面が硬くならないのかなあ、などと心配してしまうが、イマドキのカブは洗えばつるりと白く、きめも細かくて硬くはない。
上半分が紫のカブ「あやめかぶ」は、葉の下の地表では紫の色がかなり強く葉の緑と良いコントラスト。洗うとおだやかな紫になるのは紫の色素アントシアニンが水溶性だからだろうか。
外皮が堅めのカブはぬか漬けに向く。柔らかいカブなら塩で揉んで半日で食べられる浅漬けもおいしい。火を通せば短時間で柔らかくなる。肉と一緒に炒め煮すれば味の染みも早く、野菜の甘みとうまみが感じられる。
黒系の器に盛ると白とのコントラストが美しかった。
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