「春が来た!」を形で表わすと菜の花になるんじゃないかと思ってしまう。この野菜が並ぶとその場が何ともいえず華やかになるのだ。
関谷の農家の柏木さんはそんな食用菜花の在来種を育てている。昨年の10月下旬に種をまき、野菜の甘みを育てる寒い時期を過ごして春先になった今、軸は一気に伸びた。雨後の温かさで一日に5センチ近く成長することもあるという。改良種より背丈が高く なる在来種は、3月初旬ごろ少し遅れて最初の花がひらく。するとあの愛らしい黄色い花が次々と咲きだすのだそうだ。けれども出荷は開花直前。こうして多くの菜花 が畑ではなく店頭で開花を迎え、私たちを楽しませてくれるのだ。
「この菜の花は軸も太くて葉も大きいのに柔らか。癖もなく苦みも少ないから花も軸も葉も全部食べられるんですよ。春をめしあがれ。」今年は雪が降ったので開花時期が遅いとはいえ、菜花の成長に柏木さんは嬉しそうだ。
柏木さんの菜の花が運んでくれる「春」は、何とも甘やかですがすがしい。さわやかな香りがあって苦味はほとんど感じられないから、う~ん、美しく甘く、ウレシクなるのだ。今まさに咲こうとするつぼみたちは、畑でもあざやかに季節の到来を伝えてくれる。