カブ

Kabu_3  木々の影が長く伸びる夕方、畑から帰ってきた福田家の家族が作業場に入る。やす子さんは洗い場に井戸水を張ると、収穫したての野菜を洗い出した。目にもとまらぬ早さで手が動き、カブがピカピカになっていく。土が乾く前に洗うことで、みずみずしい白さが表れるのだ。葉をいためないよう数個づつていねいに組み合わせて約700gで一把に縛る。作業場の一角では息子さんがニンジンを洗っている。水とブラシで表皮をそぎ取るように洗うと、こちらは鮮やかなオレンジ色が出る。「昔から霜にあたると野菜は甘くなると言われるの。これから根菜類が甘くおいしくなる季節。」教えてくれる間も、やす子さんの手は動き続ける。作業場に孫の竜馬くんがやってきた。Img_5723_2 おばあちゃんと一緒に野菜を洗おうとスポンジを握る姿にようやく手が止まり、プロの顔からやさしいおばあちゃんの顔になった。「泥を残さないでていねいに洗ってね」…!

野菜は畑で育てて収穫すれば終わりではなく、出荷前に洗浄、選別、束、箱詰め等の一連の作業がある。目に見えないところを支えるのは主に女性たち。農業は家族ぐるみの仕事だ。

福田家ではお正月の支度は男性陣の仕事。Mini_2
ザッキと呼ばれる木製の台に野菜を盛って神様に捧げ、野菜たっぷりのお雑煮を作る。一年の無事と女性たちへの感謝をこめるのだそうな。おばあちゃんの手でピカピカになった野菜がおじいちゃんの作るお雑煮に入る。「でも、おせちやお雑煮の最後の味付けは、やっぱり女の人の担当なんだな」おじいちゃんが笑って言った。竜馬くんがかぶりついたふくよかなカブが力を合わせる家族の姿に重なった。Img_5753

福田さんの野菜はイトーヨーカドー大船店(0467-47-5211)の鎌倉野菜のコーナーか、鎌倉市農協連即売所(鎌倉市小町1-13-10 お問い合わせ:JAさがみ0467-44-3851)で求められます。