稲刈り

秋の一日、近所の林さんの田んぼの稲刈りをお手伝いした。稲刈りは林さん一族と近隣の人が行う。昔から人手を必要とする作業なのだ。

鎌倉在住の林さんの畑は鎌倉関谷にあるが、田Img_5271 んぼはそこから5分の横浜の栄区にある。あたり前だが鎌倉の農業は古く、今の市町村制度ができる以前から営まれている。後からできた市境にまたがる場合も出てしまった。そこで横浜市の一部も鎌倉の農業と認め、「鎌倉やさい」として直売所などで売っているのだ。

行ってみると早朝からの作業が進んでいて、機械によって刈り取られ束にまとめられた稲を干す作業に移っていた。竹で干場を作り、そこに束にされた稲をかけ、雀よけのネットを張っていく。言葉にすると何のことはない工程の一つ一つにコツがあって、初めてだときれいに干せなかったり、余計に力を使ったり、稲が抜けて落ちちゃったり。その悪戦苦闘が、でも何となく楽しい。Img_5278 「収穫!」って気分になるんだな。子どものころに見た「刈り取られた藁が干されている田んぼ」の光景が次第に出来上がっていく。この頃になると黙々と作業をしていた大人からも笑みが広がり、取っても取ってもきりがないカエルの話や、ネットをよけてお米を食べちゃう根性ある雀の話、どんな小さな雑草でも名前があることなどが出てくる。懐かしくて豊かな時間。

Img_5287 曇天だった空からパラパラと雨がこぼれる直前に作業は終わった。稲の前に一同集合して記念写真を撮る。実はこの周辺には幹線道路のインターチェンジを作る計画があり、ここでの稲作はおそらく今年限りなのだそうな。懐かしい光景が、またひとつ鎌倉から消えていく。