インゲン・夏野菜

Ingen_1  雲の合間からのぞくお日さまの方へ。けなげにツルを伸ばしていく豆類が、白い花の下にサヤをつけている。花はスイトピーのように可憐。ちょうどインゲンが育ち盛りの季節なのだ。

Hayasi_1  「ちょっと体調をくずして収穫に行けなかったら、こんなに大きくなってしまった。これじゃ出荷できないのよ」近所の農家の林さんは嘆いた。丹念に仕分け作業をする林さんの手元を見ると、太く伸びやかに育ったインゲンが美しい緑色をしている。こんなにきれいでおいしそうなのに?と聞くと、「今は細くて小さいのが好まれるの。昔はこのぐらいの大きさが良いとされたのだけど。味は変らないのにね」と教えてくれた。インゲンの見た目も、流行があるらしい。それでも収穫のタイミングが遅れると豆類は緑のサヤに麩のような茶色い部分ができやすくなる。サヤ同士や柵にこすれて付く傷。「ちょっとこすれただけで傷が付く、繊細な野菜」なのだそうな。林さんの作業所には、ほかにもつややかな深い紫の大きなナスや少し赤くなりだした肉厚のピーマンも見える。どれも自然の色が力強く、姿も伸びやか、傷もほとんどなくてりっぱ!なのに育ちすぎで売れないのだ。何ヶ月もかけて大きくしても、収穫が数日遅れただけで。なんて厳しくて「もったえない」。それらの野菜を売ってもらった。Ryori

夏の野菜はどんなふうに食べてもおいしそうだけど、今日は素揚げ。素材の固さが気にならない調理法なのだ。ナスは高温で。インゲンははぜないようにきちんとスジを取って。ピーマンは緑が美しく出るように、それぞれに油で揚げ、醤油やショウガ、好みでお酢を入れる。そのままでも良いが、冷蔵庫で冷やして食べてもおいしいサラダになる。お日様の滋養を集めた力強い夏野菜は、伸びやかな見た目も味もとてもステキなのだ。Endo011_1