紅葉

Yama_1  鎌倉の紅葉は遅く、大体12月の1~2週がピークと言われる。「今年の紅葉は去年に比べて色が鮮やか」とか「少し薄い」とか「場所によって違いがある」とか聞く時期になった。美しく染まった山々を見上げて歩く人を横目に、山背負い(山の際に住むもの)の私たちは、ひたすら地面を見つめ、「ああ、今年もこの季節が来てしまったか」と実感する。地面は一面の落ち葉、お掃除に追われる季節なのだ。

Souji 紅葉の観光客はご存じないだろうが、落ち葉は近所の者がひたすら掃く。この時期、天気の良い日は、あの竹箒のシャッシャッという音がどこかから聞こえると、あ、うちもやらなくっちゃ、と数件のお宅の前でいっせいに同じような音がしだす。皆でお掃除した日は、きれいになった道端のすがすがしさだけでなく、すばらしい充実感とチームワークの喜びをひしひしと感じる。が、この輪に加われず外出しなければならない日は、平身低頭して道を歩くことになる。オマケにお天気が食わせモノで、地面がぬれているとうまく掃けない。風が吹くと、落ち葉の量も増える上、坂の途中のものは落ち葉が吹き飛ばされてお掃除の量が減りラッキーだが、坂の下のお家の前に落ち葉が吹き溜まる。申し訳ないこと!

Sora_3 子どもが小さい頃は、数名の主婦で掃き集めた結構な落ち葉で焚き火をして焼き芋を作り、子どもたちと皆で食べた。落ち葉の山を見ると、どうもそうしたくなっちゃうのだ。それは紅葉を見ても、きれいね~、と感心する前に、あ~あ、お掃除しなくっちゃと感じ、大量のお仕事をこなした自分たちへのささやかなご褒美だったのかもしれない。今ではそのご褒美も味あわなくなったけど、美しい紅葉や落ち葉の下に、ジモチーたちの涙ぐましい努力があることも思い出して欲しいな。 (Can)